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周囲を取り込む庭が完成しました

今回当園、川村造園が手掛けた庭では、周囲の自然を最大限に活かすために、奥行きのある山々を借景として利用しました。
この手法は、遠くの風景を庭の一部のように見せることで、庭の限られた空間を遥かに広がる景色に見立てる、日本庭園独特の工夫の一つです。

この地域は雪が多く降るため、冬の厳しい気候に耐えうる庭づくりを心掛けました。
庭木の選定には特に注意を払い、雪の重みに耐えられる強靭な種類を選ぶと共に、植える本数も控えめにしました。これにより、積雪時に木々が損傷するリスクを減らし、年間を通じて庭の美しさを保つことができます。
また、庭木が少ないことで、雪景色が一層際立ち、冬ならではの風情を楽しむことが可能になります。

石組みへの力の入れ方も、この庭の特徴の一つです。
雪国の庭では、冬季に雪に覆われてしまうことが多いため、石組みを工夫することで、四季を通じて変化に富んだ表情を楽しむことができます。
石は自然石を厳選し、それぞれの形や色、質感が調和するように配置しました。
大小さまざまな石を組み合わせることで、山や川を模した景観を作り出し、見る人の想像力をかき立てます。

さらに、石組みの間には、耐寒性の高い低木や常緑樹を点在させ、緑のアクセントを加えています。
これにより、雪が積もった際にも、緑のポイントが際立ち、冬の白一色の世界に温かみを与える効果があります。
また、春には花を咲かせる植物を選ぶことで、季節の移り変わりを色とりどりの花々で感じることができるように配慮しました。

庭を楽しむというのは、単に目で見るだけではなく、季節の移ろいや時の流れを感じ取ることができる豊かな体験です。
この庭で実現したかったのは、そうした時間を感じられる空間の提供です。
借景となる山々の壮大な景色、冬の静寂を映し出す雪景色、石と植物が織りなす和の趣、これらすべてが調和して、訪れる人々に心の安らぎを提供します。
そしてこの庭は、四季折々の自然の美しさを静かに味わうことができる特別な場所となっています。

当川村造園が目指すのは、自然と調和し、季節の変化を感じさせる要素を取り入れた庭づくりです。
そのような庭は私たちの生活に深い潤いをもたらします。
それは、日本の伝統的な庭園の美学を現代に受け継ぎつつ、地域の気候に応じた工夫を凝らすことで、新たな庭園文化を創造する試みでもあり、常に人の心にある庭造りを提案していおります。

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